K'z Lifelog ~青春18きっぷと乗り鉄のブログ~

青春18きっぷの話題をはじめ、汽車旅のノウハウや鉄道関連のニュースなどを思うままに綴っていく乗り鉄ブログです。

JR北海道が国に支援要請へ、どのような形の支援になるのでしょうか?

おすすめ記事Pick Up! 【トップページ】 まずはこちらから!青春18きっぷ・おすすめ路線など当ブログおすすめ記事の目次です
【ダイヤ改正】 JR東日本が10月14日にダイヤ改正! 黒磯~新白河の輸送体系変更!
【おトクなきっぷ】 おすすめのフリーきっぷ紹介記事まとめ

経営難に陥っていて、路線網の半分以上を「単独で維持困難」と表明しているJR北海道が、国へ支援を要請することになりそうです。とはいえ、国鉄分割民営化の経緯を考えると、単なる赤字の穴埋め的な支援は困難な可能性もあります。地方の交通インフラを今後どのような形で維持すべきかを、本気で考えなくてはいけない時期にきているのではないかと思います。

JR北海道が国に支援を要請へ

各紙の報道によりますと、10月28日に、北海道の高橋知事、JR北海道の島田社長、市長会の菊谷会長、町村会の棚野会長の4者で会談し、その席で、JR北海道の島田社長が、国に支援を求めたいと述べたそうです。

www.sankei.com

これまでの経緯を振り返ってみます。

JR北海道は、2016年11月に、自社の1200km以上に及ぶ線区が「単独で維持困難」であると表明し、廃止・バス転換や、路線維持費用の負担を求める考えを示していました。

「当社単独では維持することが困難な線区」について(JR北海道 プレスリリース 2016年11月18日)

ところが、「単独で維持困難」な線区の沿線自治体との会合を持つも、費用負担の協議にはほとんど入れない状態が続いていました。

www.kzlifelog.com

国鉄分割民営化の経緯を考えると単純な赤字補てんは難しい?

f:id:kzlife:20171031223301j:plain

JR北海道は国に支援を求めるとしていますが、具体的にどんな「支援」になるのでしょうか? 国鉄分割民営化の経緯を考えると、大赤字の路線の赤字を補てんするだけの支援は難しいのではないかと思います。

国鉄の分割民営化は、巨額の赤字を抱えた国鉄を分割し、相互の依存を断ち切ることにより、民間企業として経営的に自立できるようにすることが目的でした。ただし、JR北海道は将来の赤字が見込まれていたため、分割民営化時に、経営安定基金(約6800億円)を与えられ、その運用益で赤字を補てんすることになっていました。

こういった経緯からすると、単純に国が赤字を補てんするような形の支援は、事実上、国鉄時代の非効率な経営に戻ることを意味しますので、政治的にも判断できないのではないかと思います。

「安全対策」に対する国の支援

実は、2016年度から、国(国土交通省)が「安全対策に対する追加的支援措置」と称して、JR北海道に1,200億円の支援を実施しています。これは、JR北海道の一連の安全問題に対して、国土交通省が行った業務改善命令・監督命令に基づいて、JR北海道が「安全投資と修繕に関する5年間の計画」を策定・報告したことに対する支援という位置づけになっています。

www.mlit.go.jp

ただし、これは2018年度までの3年間の期間限定の措置ですし、目的も「安全対策」に対する支援ということになっていますので、表向きには赤字路線の補てんとは異なります。

また、地方鉄道を対象とした国の支援制度もあります。

www.mlit.go.jp

このうち、「鉄道施設総合安全対策事業費補助」は、安全な鉄道輸送を確保するために地域鉄道事業者が行う安全性の向上に資する設備の更新等を支援する、となっています。ところが、この支援制度では、「地域鉄道」が対象になっていて、JR各社や大手私鉄は対象外となっています。

地方自治体が設備保有の上下分離+国が支援か?

f:id:kzlife:20171031223444j:plain

今のところ、国がどのような形で支援をするのかは見えていません。

前述の通り、国鉄分割民営化の経緯を考えると、単純な赤字補てんに見えるような形での支援はないと思います。JR北海道が望んでいる「上下分離方式」についても、国が丸ごと設備を保有するような手法は取らないだろうと思います。

考えられるのは、次のような形態でしょうか。

  • (鉄道を維持する)線区ごとに、北海道と沿線自治体が設備を保有する上下分離方式を採用、国が支援を実施
  • 国策上重要な線区は、国が設備を保有する上下分離方式もあり得るかも?

基本は、国ではなく、地方(北海道・沿線自治体)が設備を保有する上下分離方式になると思います。上下分離方式は、日本各地の地方私鉄や第三セクター鉄道で見られますが、基本的には、都道府県か市町村、またはその両方が設備を保有する形をとっています。そのうえで、国が自治体に支援するという形になるのではと思います。

このような形にすることで、北海道や沿線自治体にも負担が発生するため、本当に鉄道を維持すべきかを判断する必要が出てきます。赤字垂れ流しの国鉄時代の轍を踏まないようにするには、現実的な範囲まで負担を軽減したうえで、地方が主導権を握って、存続なのか廃止するのかを決めていく必要があります。

一方、国策上重要な線区、例えば、貨物列車が定期的に走り、代替の輸送手段が確保できない線区などでは、沿線自治体の意向によらず、国が設備を保有することもあるかもしれません。

今後の協議に要注目!

普通に考えると、上記のような形態になるのではないかと想像できますが、国レベルで大きな政治判断があれば、まったく違った形になるかもしれません。

いずれにしても、人口減少社会の交通インフラをどのような形で維持していくのか(維持しないのか)、JR北海道の「単独で維持困難な線区」の行方は、その試金石になるはずですので、要注目だと思います。