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JR北海道が平成28年度の線区別収支状況を発表、昨年よりも状況が悪化している路線が目立ちます!

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JR北海道は、11月7日、平成29年度第2四半期決算を発表しましたが、合わせて、平成28年度の線区別収支状況を発表しました。平成27年度に比べて、ほぼすべての路線で営業係数が悪化しており、JR北海道の「単独では維持困難な線区」の問題は待ったなしの状況となっています。

平成28年度の線区別収支状況

JR北海道は、11月7日、平成28年度の線区別収支状況を発表しました。

平成28年度 線区別の収支状況について(JR北海道 プレスリリース 2017年11月7日)

ここでは、昨年、JR北海道が発表した「単独で維持困難な線区」について、輸送密度と営業係数を平成27年度と比較してみます。営業係数は、100円の営業収益を得るために必要は営業費用(円)を示し、100以上で赤字、100以下で黒字となります。

輸送密度200(人/キロ/日)未満の路線

線名 線区 輸送密度 営業係数 営業損益
(百万円)
札沼線 北海道医療大学
~新十津川
66(-13) 2,609(+396) -367
石勝線 新夕張~夕張 83(-35) 1,681(+493) -166
根室線 富良野~新得 106(-46) 2,636(+782) -888
留萌線 深川~留萌 228(+45) 987(-355) -671
日高線 鵡川~様似 125(-60) 1,757(+281) -886

輸送密度200以上~2000未満の路線

線名 線区 輸送密度 営業係数 営業損益
(百万円)
宗谷線 名寄~稚内 362(-41) 696(+78) -2,672
根室線 釧路~根室 435(-14) 542(+25) -1,038
根室線 滝川~富良野 384(-104) 1,210(+200) -1,275
室蘭線 沼ノ端~岩見沢 484(-16) 1,137(+172) -1,267
釧網線 東釧路~網走 432(-81) 590(+29) -1,497
日高線 苫小牧~鵡川 463(-) 1,827(+1,025) ‐440
石北線 上川~網走 880(-181) 395(+63) -3,039
石北線 新旭川~上川 1,229(‐252) 368(+72) -861
富良野線 富良野~旭川 1,487(+10) 381(+18) -1,018
宗谷線 旭川~名寄 1,477(-94) 419(+35) -2,204

※太字は「単独で維持困難な線区」(13線区)

※カッコ内は平成27年度との差分

「単独で維持困難な線区」は、輸送密度・営業係数ともに大幅に悪化

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営業係数で見ると、留萌線を除く全ての路線で大幅に悪化しています。留萌線についても、昨年12月に留萌~増毛間が廃止されたことに伴う一時的な乗客数増加によるものです。また、石北線、根室線(富良野~新得)は、昨年8月の台風被害でしばらく運休していた影響があると思われます。

輸送密度も全般的に減少傾向です。台風被害の影響がさほどないはずの宗谷線や根室線(釧路~根室)でも漸減傾向ですので、人口減、過疎化の影響は確実にあるようです。

災害の影響など、年によって大きく変わる要素はありますが、年々厳しい状況になっていくのは間違いないでしょう。

ちなみに、JR北海道は、鉄道事業全体(北海道新幹線を含むJR北海道全線)で約525億円の赤字です。この赤字額も巨大ですが、もっと深刻なのは、平成27年から比べると、鉄道事業の赤字額が114億円も増えていることでしょう。鉄道事業の営業収益(収入)が370億円前後しかない会社が、その鉄道事業で500億円を超える赤字を出していて、1年で100億円も赤字が増加しているのですから、非常に厳しいと言わざるを得ませんね。

赤字額が大きいのは実は幹線区間

営業係数でみると、札沼線の末端区間や、石勝線の新夕張~夕張、根室線の富良野~新得などが4桁となっていて目立ちますが、これらの区間は営業距離が短いため、営業損失はそこまで大きくありません。

一方、赤字額が大きいのは、宗谷線(名寄~稚内 -2,672,旭川~名寄 -2,204)、石北線(上川~網走 -3,039)、釧網線(-1,497)など、距離の長い幹線区間です。特に、宗谷線 旭川~名寄間は、「単独で維持困難な線区」には含まれていないですし、輸送密度もそこまで低いわけではないのですが、赤字額(営業損失)はかなり大きくなっています。

これが、JR北海道の厳しい経営環境を示していると思います。北海道は面積が広いうえに、冬季の自然環境が厳しいため、都市間輸送の需要はそれなりにあったとしても、除雪などのメンテナンスや設備更改などに巨額の費用がかかり、結果的に経営を圧迫する要因になっています。

線路等の設備を自治体が保有し、JR北海道に貸し付ける「上下分離方式」をJR北海道が望むのも、このような事情があるからと思います。

「単独で維持困難な線区」を全て廃止しても経営改善は厳しい?

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「単独で維持困難な線区」である13線区の営業損失は、合計で約160億円です。一方、JR北海道(連結)の平成29年度の通期業績予想(営業利益ベース)としては、425億円の赤字を予定しています。つまり、「単独で維持困難な線区」を全て廃止したとしても、赤字の3分の1程度がなくなるだけで、黒字化にはほど遠い状況です。

実際には、廃止した区間にはJR北海道が代替バスを運行するでしょうし、上下分離方式が採用された区間では、JR北海道が設備を借り受けて列車の運行を実施します。赤字額は大幅に圧縮されるでしょうけれど、輸送密度を見る限り、黒字化するとはとても思えません。

JR北海道は、「単独で維持困難な線区」の協議を進めるとともに、今後も維持していく線区の収益改善にも本気で取り組まないと、経営改善には結びつかないと思います。札幌圏を含めて、全路線・全線区で赤字のままでは、民営の鉄道会社として成り立たないですよね。

現在の経営難の状況では、なかなか積極的な策を講じることができないという事情もあるのでしょうが、インバウンドの観光客に鉄道を使ってもらうような施策を今から仕込んでいかないと、「単独で維持困難な線区」の問題が片付いたあとも、ジリ貧になっていくように思います。


この記事では、JR北海道の線区別収支状況についてお伝えしました。ニュースメディアでは、北海道新幹線の赤字がクローズアップされていますが、より深刻なのは、どんどん収益が悪化している「単独で維持困難な線区」に加えて、他の路線での赤字額がかなり大きいことです。北海道には観光という資源があるので、それを活かした積極的な施策にも期待したいと思います。